Correlative light and electron microscopy (CLEM) とは
Correlative light and electron microscopy (CLEM)とは、蛍光顕微鏡と電子顕微鏡の観察を組み合わせた解析方法です。
蛍光顕微鏡で観察した部分と同じ場所を電子顕微鏡で観察し、それぞれの方法で取得した画像を比較して相関をとることによって、分子特異的な局在を解析する手法です。
用いるプローブの種類によって様々なCLEMが開発されています[2: Sosinsky et al., 2007]。
はじめに
細胞のダイナミックな振る舞いは、細胞内の高分子複合体同士の相互作用の結果です。核酸、タンパク質、代謝生成物やイオンのライブセルイメージングと高解像による特定は、細胞の一部分から分子レベルで行うことが可能で、複雑な細胞内の機能を理解するために必要な重要な情報を明らかにします。
光学顕微鏡(light microscopy)と電子顕微鏡(electron microscopy)による手法は、細胞の情報を捉えるために非常に強力であり、免疫染色(immunolabeling)のような手法はin situで分子を特定することに成功しています。
分子生物学の遺伝子組み換え手法と合成化学の発展で、新しいプローブと標識技術が誕生しました。
メゾスケールの解析
メゾスケール(mesoscale)とは、細胞、組織、器官の中に含まれる機能的な複合体を形成する高分子の集合体の構造とダイナミクスに関する新しい知識を得るための画像化の範囲です。(語源となったギリシャ語の”mesos”は中位という意味です。)
メゾスケールの構造は、光学顕微鏡を使用して画像化され、より詳細な構造を捉えるために電子顕微鏡を使用して画像化されます。これは多数の予備的な手法とともに行われます。
分子同士の相互作用であるインタラクトーム(interactome)[Reual et al., 2005]に対するシステム生物学の計算機科学的なアプローチや、理想的には機能的な相互作用を完全に理解するために細胞内環境での高分子複合体の位置を特定するためのビジュアルプロテオミクス(visual proteomics)[Nickell et al., 2006]などもあります。
光学顕微鏡と電子顕微鏡の相補的効果
興味対象となるタンパク質をハイライトするひとつの方法は、それらのタンパク質にプローブ(probe)を付けることです。これには、蛍光(fluorophore)による分子のタグ付け[Giepmans et al., 2006]、ペルオキシダーゼ媒介沈殿物のような非蛍光染色が含まれます。
電子顕微鏡マーカーは、背景成分から区別を行うために、高い電子密度である必要があります。そのようなマーカーは、電子顕微鏡によるトモグラフィー(tomography)によって可視化でき、組織、細胞、高分子複合体の3次元での超構造に関する情報を得ることができます[Subramanian, 2005]。
ある構成要素に対してラベリングを行った電子顕微鏡のトモグラフィーによる再構築の組み合わせは、細胞要素の中におけるタンパク質の位置を特定するために強力な手法となります。
CLEMの応用事例は、細胞生物学の構造的基盤に対する我々の理解を革新します。対象とする特定のタンパク質をハイライトするために蛍光プローブが開発されています。また、よりよい蛍光顕微鏡装置はこれらのプローブを3次元または4次元(リアルタイム)でモニタリングできます。蛍光顕微鏡における発展は、タンパク質の共局在(colocalization)、ターンオーバー(turnover)、機能を決定するために役立ちます。しかしながら、蛍光顕微鏡の解像度での画像化は、プローブの一般的な細胞内での位置、サイズと形状、シーケンシャルなデータ取得のあいだのプローブの動きの程度だけしかわかりません。