Mache et al., 2007 より
新しい技法である”Serial Block Face Scanning Electron Microscopy(SBFSEM)”は電子顕微鏡での生物組織のsectioningとimagingの自動化を可能にした。 (Denk and Horstmann, 2004)
この技法による画像のスタックは、シナプス構造を含む異なる細胞の部分を区別するのに十分な解像度をもち、これにより完全な神経回路の解剖学的知識の詳細が得られる。
画像のスタックは数千枚の画像からなり、最小ボクセルサイズはx-y軸が10-20nm、y軸が30nm。数百TB。(Briggman and Denk, 2006)
故に、(人の手で作業するには膨大で)高度な3D再構築自動化アルゴリズムが必要とされている。
最初のステップとして、細胞膜の正確な輪郭トレースのための半自動化アルゴリズムを開発。
画像のスタックのセグメント間の抽出したオブジェクトの3D観測を可能にした。
手動でのトレーシングと比べると、処理時間は大幅に向上した。
本論では、ハエの視覚神経節の一部を再構築するアルゴリズムの開発を行っている。
(Strausfeld, 1984)によると、ハエの視覚システムは蛍光顕微鏡で見ることができる解像度では、すでによく観察されているが、ultrastructural levelの知識は、visual motion processingでの回路を見るために必要である。(Borst and Haag, 2002)
原理的には3次元画像ブロックを直接セグメント化することは可能であり、事前の画像から得られる情報を使って、シーケンス内の各画像のセグメントを選択した。
処理のステップ
1. 同じmedianとinter-quartile rangeを持つように各画像の輝度値 intensity value の正規化
2. 空間フィルタの適用。Gaussian broadeningか非線形拡散nonlinear diffusionを選択。(Perona and Malik, 1990)
非線形拡散は、ノイズ除去エッジ保存フィルタリング手法であり、各場所で輝度勾配の推定に依存するフィルタの度数をを決定。これにより、強いエッジは保存されるが、そうでない部分はかなり平滑化される。
MATLAB Toolbox(D’Almeida, 2000)を利用。
フィルタ性能がパラメータのとり方にsensitiveであることから、パラメータを最適化するのが望ましいadvisable。あるいは、人の手でラベルづけされた画像からフィルタを学習(Vollgraf et al., 2004)
3. 隣り合う画像同士のクロス相関を計算。これにより、欠陥画像の検知と除去が可能。例えばゴミが入ったりした場合に。
セグメンテーションアルゴリズム
一般的なアプローチ
スタック全体を一度にやるのではなく、シーケンシャルに行った。?
オブジェクトが隣接する画像にかけて連続していると仮定。
連続性を確かなものにするため、事前の画像のセグメンテーションからの情報と、現在の画像のピクセル強度 the pixel-intensities を組み合わせる必要がある。
一つの画像のセグメントは次の画像に伝播する。
ただし、最初の画像に対しては別の戦略を用いた。(後述)
Level Set 法
陽にオブジェクトの境界を表現する方法(例:スプライン関数)は使用せず、陰に符号化距離関数Φのゼロレベル集合を使用。
foregroundとbackgroundに分ける画像セグメントI:Ω->Rを探索。I(x)は画像のグレイスケール。
(Osher and Fedkiw, 2003; Sethian, 1999)によるレベル集合フレームワークでは、Ω+={x:Φ(x)>0}をforeground(例:ニューロン内部のビクセル集合)、Ω-={x: Φ(x)<0}をbackgroundとするような関数Φ:Ω->Rを見つけたい。
オブジェクトとbackgroundを分ける輪郭contourは、Γ={x:Φ(x)=0}で与えられる。
注意すべきは、複数のオブジェクトをもつ画像は、オブジェクトをforeground領域の接続要素として定義することで、一つのセグメンテーション関数Φによってセグメント化できるということ。
この埋め込みはユニークではない、Φは時々signed distance function (SDF)によって制約を受ける。
例:絶対値は境界に境界最近傍への距離を与えることによる ?
しかしながら、その場合になることはない。
例えば、セグメンテーションに対する確率モデルが与えられたとき、Φ(x)+t (tはスカラー値オフセット)は、ピクセルxがforegroundに属する確率の対数とみなせる。この場合、Φ(x)はあるピクセルが何の領域に割り当てられているかのみならず、割り当て対する信頼度としても表現される。
陽表現と比較して、陰表現はトポロジー変化(オブジェクトの結合merging と分割splitting)に対して容易に対処でき、高次元への拡張が容易に可能であるという利点がある。
画像のエッジ検出によらない領域ベースな方法に焦点をあてながらも、fore-とbackground領域のピクセル強度の分布の差を利用することにフォーカスする。
実用上は、時間変数tを導入し、Φtが何らかのエネルギー関数E(Φ,I)を最小化するために含まれる。(Cremaers et al., 2006)
共焦点や多光子顕微鏡から得られた画像の解析のために、神経構造は円形構造が連なるチューブ様としてモデル化することが可能であるという仮定に基づくが、本論では円と異なるという観測から、その仮定はおかない。
レベル集合法は、生物医学応用で3次元物体のセグメンテーションのためによく使用される手法。(Whitaker et al., 2001)
本論で提案されている手法は、ひとつの画像から次の画像へ情報が伝播するという点やエネルギー関数の抽出形式において、既存の手法と異なる。
アプローチとしては(Jurrus et al., 2006)と関連しており、彼らの研究によるとkalman filterに基づくpropagation schemeを使用し、オブジェクトの表現にレベル集合よりも明示的な境界を使用していた。
確率的フレームワーク
統計モデル
を画像、を対応するセグメンテーションとする。
すでにセグメント化が済んだ前の画像が存在し、は既知とする。
我々は、とが与えられたとき、最も確率の高いセグメンテーションを見つけたい。を最大化。(Cremers et al., 2006)
Bayes’ Ruleより、
を得る。
は、可能なセグメンテーションについての事前分布priorとみなせることができ、隣接する画像間のオブジェクトの連続性を確証する指標として使用できる。
これは、複数の画像にかけて構造をトレースすることを助ける。
加えて、滑らかな輪郭の支持やセグメント化されたオブジェクトの形状についての事前知識としても使用される。
実際は、手作業でラベルづけされた画像から学習されるが、訓練集合が十分でないことから、事前分布のための関数形式を選択する必要があった。
単純化のために、画像は前画像と独立しているものとして、現在のセグメントをとする。
独立性より
与えられた符号付き距離に対し、が、外部(あるいは内部。の符号による)のすべてのピクセルの強度に対する確率分布を与え、closest boundaryまでの距離を与える。
簡便のため、現在の画像を、一つ前の画像をと表記する。
事後確率 最大化は、その負のlogの最小化と同値。
エネルギー関数は、
これを最小化する。
エネルギーの合計は画像の独立部分と事前独立部分の和で表される。
以下、とについて詳細に特徴づけ、データからnon-parametricに分布を学習するような可能な代案についてもみる。
単純なアルゴリズム
ピクセル強度I(x)の分布には、平均と分散の正規分布を仮定、